「小さないのち」会報--会報 No.51
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2004年10月22日
会報 No.51
これは喪失会員用の会報です。
こころの扉(会報41号)              平成15年 月

こころの扉(会報51号) 平成1610

                   発行【小さないのち】

救急現場の家族ケアガイドラインについて

 


今年度中に、厚労省研究班で、家族ケアおよびグリーフケアのガ

イドラインを作ることになりました。 

死が避けられなくなった子どもの家族が、医療従事者の配慮に恵まれ

ていねいな看取りができることは私たちの強い願いでした。この会に

はこうした願いがかなった人と十分にかなわなかった人がいますが、

当会は発足当時からすべての遺族の声をもう一度現場に届ける努力を

重ねています。この機会に皆さんのご意見を反映させたく、下に現在

提出している原案を紹介します。         

*グリーフ:死別の悲しみ ガイドライン:手引き

 

 

 

2004929

救急現場における家族ケア(案)    

小さないのち 坂下 裕子

 


家族ケアの基本は親の意向に沿うことであるが、小児救急ではその

緊急性や特異性から独自のケアのありかたが求められる。

重症の場合、親の動揺や罪責感を軽減するための援助と、症状の経過

や治療内容に理解が伴うための援助の両方が必要となる。さらに予後

の不良が予測されると、残された時間で最大限に家族が大切なときを

過ごすための心からの配慮が必要となる。医療スタッフは、家族の苦

悩に共感的で、回復を信じて疑わない心情をも尊重し寄り添う姿勢が

求められる。

記録は、のちに家族の理解を助けるだけでなく、遺族にとっては尊

い遺品(子どもが生きぬいた証)となるため、丁寧で正確な内容で

あると同時にスタッフの心が通うものであることが望まれる。

従来、遺族へのケアは何もなかった。死別後の親はその先を生きる意味が見出せないほどに心身ともに衰弱し、幼いきょうだいへの影響も避けられない。退院の後にも、看取った病院でなければ提供できない援助を親が求めやすいよう、このたび遺族と病院を一本の糸でつなぐ“エンゼルカード”を発案した。

 

(左枠「家族の声」は現在は仮のものであり、

皆さんの意見が届いたら作成しなおします)

 

(右枠「配慮」のなかで、これまで見落とされがちだった点に下線を引いています)


 

 

 

家族の声(仮)

  医療スタッフの配慮

病院前救急

 

 

心停止後の搬送

 

・隊員は熱性痙攣と思い込み、インフルエ

ンザ脳症を疑ってはいなかった。

・隊員が淡々と動く姿が自分たちとはかけ

離れて見えた。

 

 

 

・救急隊はインフルエンザ脳症の初期症状を周知し、適切な医療機関に搬送しなければならない。

・インフルエンザ脳症が疑われる患児の親に対し、不安を軽減するよう努めることが望ましい。

 

 

・いきなり警察と言われさらに動転した。

・警察が来るまで触ってはいけないと言われ、子どもは冷たい台の上に置かれた。

・無造作に丸めた衣類をゴミ袋に入れて返された。

・警察官に「ご両親の気持を察してあげて」と言ってくれた。

・いまも何が起こったの分からないままでいる。

 

・死亡確認は親の罪責感に配慮して行う必要がある。

・警察への連絡および解剖の必要性について、配慮して説明する必要があり、犯罪性を感じさせる表現を避ける必要がある。

・許容できる限り抱く機会の確保する必要がある。

後日改めて説明を補足する意向を伝え、エンゼルカードを手渡すことが望ましい。

 

 

 

 

 

到着から処置の間

 

・こんなになるまで!の叱責の記憶が消せない。

・意識が戻り泣いているのではと思い、「ママいるからね」と知らせて手を握ってやりたかった。

・何時間も引き離されたのちに最悪の事態を知らされ信じられなかった。無念だけでなく後悔や憤りも込み上げた。そばについていたかった。

・受け止めようとする気持と否定したい感情が交差し、我が子に起こった現実と思えなかった。

・医師の「大丈夫!」あるいは「ぜったい助けますから!」という言葉と姿勢がうれしかった。

 

・異常を訴える親の言葉に、耳と気持を傾ける必要がある。

・「よく調べてしっかりと診ます」と伝えるなど、早期に信頼を結ぶための姿勢が望まれる。

・可能な限りスタッフ1名が援助者となり、親の不安の軽減や精神的援助に努めることが望ましい。

・援助者は説明の補足や処置室とのパイプ役を務め、

 患児の状況をリアルタイムに伝える必要がある。

・立会いの意向を確認し、処置に支障を来たさない限り親の入室を支援することが望ましい。

 

 

 

 

 

 

 

急性期から亡くなる前

 

・きっと良くなると信じた。

・子どもに謝っても許されないと考えた。

・死んだら自分も生きていけないと考えた。

・我が子にしてやれることが何もなく、無力を思い知らされた。

・看護婦さんの別の会話や笑い声が心無かった。

・「今いろいろ言っても分からないと思うので、その都度聞いてください」と言ってくれ助かった。

・症状の進行が急激だったため、説明に理解が追いつかず、記憶にも残っていない。

・耳は最後まで聞こえると教えてもらい、目を覚ましてくれるよう歌をうたい続けた。

・腕の中に抱きしめたかったが、たくさんの管と機械につながれていたので無理だった。

・何がいけなかったのか、どこで間違ったのかを考え続けた。

 

 

・親の動揺が著しい場合、引き続きスタッフの1名は精神的援助を継続することが望ましい。

・体に触れていいことや、語りかけたり、好きなおもちゃを置いていいことを知らせる必要がある。

・親自ら要望することが難しいため、実現可能な援助を列挙し、選択肢を提供することが望ましい。

・残された時間がどれくらいであるか、配慮して知らせる必要がある。

・可能な限り、抱く機会あるいは抱っこに代わる密接な親の関わり方を支援する必要がある。

きょうだいもベッドサイドで看取りに参加することが好ましいことを知らせる必要がある。

・親が抱いた状態で息を引きとる(または死亡確認する)提案をすることが望ましい。

・家族が静かに丁寧に最期のときを過ごすことができる環境を確保する必要がある。

 

 

 

 

 

 

脳死状態

 

・眠っているとしか思えず、目を開けてくれると信じた。死が近いことは理解できなかった。

・転院すればまだ治療法があるのではないか?と思い、方々に電話をかけ続けた。

・ベッドで添い寝させてもらい嬉しかった。

・看護婦さんと体を拭いたり、世話しながら、家族で過ごす大切な時間に恵まれた。

・最後まで変わらず子どもと接してくれた。

・病院は治療するところなので、長くなると困ると言われた。

 

 

 

 

・脳死の説明は、配慮して的確に行う必要がある。

スタッフの心痛を抑えず、この先も患児にとって最善の方針を立てていく旨伝える必要がある。

・親が右往左往することないよう、快くセカンドオピニオンを手配する旨知らせておく必要がある。

・意識ある患児と同様に接し、苦痛を伴うであろう処置は事前に患児に声をかける必要がある。

・可能な限り家族が抱く機会を確保し、親も介護するなど、穏やかな時間のなか多くの思い出が造れるよう配慮する必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死亡

から退院まで

 

・重さと、体温と、感触を体に刻み込むように覚えておきたいと思った。

・先生や看護婦さんも一緒に涙してくれたのが慰めだった。

・先生が子どもに「よくがんばったね」「ごめんね」と声かけてくれたことが慰めだった。

・一旦部屋を出て、戻ったときにはすっかり肌の色が変わっていてつらかった。

・看護婦さんと一緒に体や髪を綺麗にできた。

・先生も一緒に体を洗ってくれた。

・次の患者さんが待っていて落ち着かなかった。

・「○○ちゃんのこと忘れません」「○○ちゃんと出会えてよかった」と心こめて言ってくれた。

・病室を出て突然、線香の匂いが残る霊安室に案内されたのがショックだった。

・処置の仕方を教えてもらい、親子で家のお風呂に入るという希望をかなえてもらえた。

・勤務の終わった看護婦さんまで見送ってくれた。

・人気のない裏口から出され、行きと帰りの大きな違いを知った。

 

・家族が十分に思うまで抱き、別れのときを丁寧に過ごすための場と時間を確保する必要がある。

・近親者だけになることを家族が望まない限り、

タッフも心痛を抑えず別れのときを共有することが望ましい。

・死後も退室を促さず、親の意向を確認し、共に死後処置や着替えをすることが好ましい。

・解剖の依頼は、今後のためや研究目的を感じさせる表現を避け、その子に起きた真実を知ることを第一目的とすることが望ましい。

親に過失がないことをしっかり伝える必要がある。

・哀悼の言葉に添えて「困ったときは連絡ください」とエンゼルカードを手渡すことが望ましい。

・霊安室へは意向を確認する必要があり、好まない家族は病室または別室で過ごすことが好ましい。

・意向を確認し、親が抱いて帰ることが望ましい。

・関わりのあったスタッフは可能な限り見送りに出て、姿が見えなくなるまで頭を下げるなど患児への敬意を示すことが望ましい。

 

 

 

後遺症

 

・後遺症=障害と結びつかなかった。

・いつか元のように回復すると信じた。

・医学的に無理でも親の愛情で戻せると信じた。

・我が子を受け入れられない感情を抱いた。

 

・中途障害に対する突然の告知は非常に過酷であるため、完全回復を信じる気持を尊重しつつ、配慮して説明する必要がある。

・リハビリは早期に導入ことが望ましく、本格的なことは急性期を脱してからになるが、関節を動かすなど、親も共に行うことが望ましい。

 

 

 次ページにあるエンゼルカードも含め

すべて原案のため今後大幅に変更する可能性があります。

 

           エンゼルカード雛形

 

 

      

 

あいさつ文

連絡先 など

 

 

   (裏)

 

 

 

エンゼルカード

 

  ここに天使のイラスト

 

      (表)

                  

 

お子さんの名前

 

 

     案内文など

 

 

 

    (見開き左)

 

 

 

死別後の症状や

症状に対する情報など

        

 

 

     (見開き右)

                         

                    

 

 

   見開き左の内容(案)

 

          ちゃんのご家族へ

 

 

  このカードは、当科で亡くなられたお子様のご家族に

お渡しするものです。お家に戻られたのち、次のような

ことでお困りのときはいつでもご来院ください。

 

・亡くなられたお子様の病気の経過や治療について

説明が必要なとき

・次の妊娠や出産について不安を感じるとき

・ごきょうだいの成長や育児に不安を感じるとき

・悲しみがとても強く、心身の不調を感じるとき

・その他、あなたが当科のサポートを必要とするとき 

  

 

    見開き右の内容(案)

 

お子様を亡くされたあとの暮らしについて

 

・悲しみが深まる一方に感じることがあるかもしれません。

・特に最初の1年間はとてもつらい時期かもしれません。

・誕生日や思い出の日が近づくにつれ悲しみが募るかも

しれません。

・ご夫婦やご家族で悲しみの表現がちがうかもしれません。

・今まで普通にできていたことを難しく感じるかもしれません。

・社会生活や対人関係を苦痛に感じることがあるかもしれません。

・記憶力や判断力が著しく低下したと感じるかもしれません。

・あらゆることに自身がもてなくなる時期があるかもしれません。

 

こうしたことが起こりやすいですが、時間をかけて回復する

と言われており、つらいときは涙することがいいとも言われています。

 

 

    裏の内容(案)

 

かつて、お子様を亡くされた方々は、適切な情報が届いて

いないことにより不安な暮らしを余儀なくされていました。

このカードは、そうした二重の苦しみを負うことがないよう

にと、かつてのご遺族たちの願いにより発行されるようにな

りました。

         

ご来院前にお電話ください

 

○○○○病院 小児科

〒  −   住所

 

電話番号         連絡窓口

 

担当医名         お子様のカルテNo.