「小さないのち」日々のささやき--私が生まれる前から母を知っている
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坂下裕子の不定期日記 日々のささやき
小さないのちの取り組み
立石由香から事務局だより
Pfizer
2017年10月07日
私が生まれる前から母を知っている
自宅の電話、めったに鳴らなくなったのに
鳴った。

お年寄りの声で、第一声は
「私はね、あなたのお母さんと仲良くしていた者です」

私、思わず、「よくかけてくださいました」
と言いかけた。

あとで思えば、母が亡くなった年に
喪中はがきを、私が差出人として出していたので
この電話が鳴ったのだ。

思いがけない電話に、舞い上がり
会ったこともないのに、
お久しぶりです、とか、懐かしいです、みたいに
口走りそうになる思いを抑え、聴いていると

「お母さんは、選挙のたびに応援してくれたの」

何のことだか分らなかった。

私は、母の人物像を知ることができるチャンスを待った。
「お母さんは、こういう人だったのよ」とか
「お母さんは、こんなことよく言ってたわ」など
母の、外での姿を知りたかったから。

私にとって、母は
仕事が忙しい、外での責任感の強いひとだった。
だから、私との、たわいもないような会話が
ほとんど持てない人だった。

私が生まれる前から母を知っているという、その人の言う
「K党を支持してくれていた」は、
違うと思った。

ただ
「いつも、がんばってくださいって、言ってくれてたのよ」は
きっと、そうだろうと思った。

電話を聴いている間は
母の話じゃないじゃん
と思っていたが
電話を切ったとき
母の話だったように思えた。

人それぞれに、今がんばっていることが実現するといい
一票は入れなくても、本当にそう思っていたと思う。

母と、政治の会話などしたことはなかったけれど
K党を支持していたと聞かされて
それはないと思う、と感じたとき
自分は母のことを、よく知っている気がして
そう実感できただけで、よかったと思った。